尖圭コンジローマを完治させるには

尖圭コンジローマとは性器や肛門周辺などに多数のイボができる病気です。数ある性感染症の中でも比較的多くみられる性感染症であり、男性も女性も発症する可能性があります。
まず治療を考える前に気を付けることは、尖圭コンジローマと同様に性器に粒上のイボができるフォアダイスと呼ばれる生理現象と症状が似ているため、自分が尖圭コンジローマなのかそれともフォアダイスが現れただけなのかを見極めることです。フォアダイスとは皮脂の脂腺が目立ってイボのように見えているだけであり、成人男性の約6割~7割に現れます。性病でもなく悪さもしないのでまったくの無害なのですが、症状が類似していることから医師でも尖圭コンジローマとフォアダイスを誤診してしまうことがあります。
尖圭コンジローマとフォアダイスを見分けるポイントは粒の大きさとその表面上の質感です。尖圭コンジローマは粒の大きさが不統一で先端の質感がトサカのような感じになっており、なめらかではありません。それに比べフォアダイスは粒の大きさがほぼ一定であり、質感はなめらかです。
以上のような違いからまずは自分が尖圭コンジローマなのかを知り、治療を始めるようにしましょう。
尖圭コンジローマの治療は病院または専門クリニック等で診てもらい薬を処方してもらい治療する、ネット通販などで薬を購入し治療するという二通りの方法があります。
尖圭コンジローマの原因はHPVというウイルス

尖圭コンジローマはHPVと呼ばれるヒトパピローマウイルスが感染することにより引き起こされますが、このHPVは100種類以上に分類することができ米国疾病対策センター(CDC)の報告では、女性の約80%、男女の合計では約50%の人が、一生に一度はどれか一種類以上のHPVに感染すると報告があります。しかしほとんどが症状もなく1~2年で体内から消えます。
尖圭コンジローマを引き起こすのはHPV6型と11型となっています。
HPVは良性と悪性の2つに分けることができ、尖圭コンジローマを引き起こす6型と11型は良性と言われています。悪性のHPVには子宮癌のリスクがある16型や18型などがあり、尖圭コンジローマから16型や18型に分離する可能性があるとされています。
ウイルスの主な感染経路は性行為
尖圭コンジローマの原因であるHPV6型と11型の主な感染経路は性行為です。性行為をすることにより皮膚や粘膜にある小さな傷からウイルスが感染するために発症してしまいます。
また性行為の種類により発症する場所も変化してきます。オーラスセックス(口を使った性行為)をすることで口腔内に感染したり、アナルセックスで肛門付近にも感染することが確認されています。性器以外にも感染する可能性があるので挿入時にコンドームを装着していても、尖圭コンジローマを完璧に予防したことにはなりません。
尖圭コンジローマの症状は?
尖圭コンジローマは感染してもすぐに発症するという訳ではなく、平均約3ヶ月の潜伏期間を経て性器などのあらゆる箇所にイボができる病気です。発症する場所も様々であり、あらかじめ発症する可能性がある箇所を知っておくことで早急に気付くきっかけになるかもしれません。
イボが発症する可能性がある主な箇所は以下の通りです。
- 男性の場合は亀頭の先頭部分や冠状溝(亀頭の根元部分、主にカリと呼ばれている箇所)、陰嚢(睾丸を包んでいる袋)などにイボができます。亀頭部分のイボなどは発見しやすいのですが、陰嚢など見つけにくい場所では発見が遅れてしまうこともあります。
- 女性の場合は大小陰唇や膣前庭(陰核から膣口にかけてまでの部分)などに発症しますが、時には膣内や子宮頚部のような内部にも発症することがあります。
- 尿道口や肛門、肛門周辺は男女ともに発症する可能性があります。
尖圭コンジローマは痛みやかゆみなどの自覚症状がほとんどないので、実際に目で見て発症に気付くことが重要です。ですが男性の陰嚢部分のような目視しにくい箇所、また女性は膣内などの見た目を確認できない箇所にできている可能性があるので、早期発見のためにも定期的に指を挿入し触感で確認を行うなどをする必要があります。
尖圭コンジローマを治す様々な治療方法
治療方法としては大きく分けて外科治療と薬物治療に分けることができます。
外科治療は病院で医師が症状などを診察し、それぞれ適切な手術方法を判断してくれます。あらかじめどのような手術方法があるかを知っておきましょう。
薬物治療は主にイミキモドという成分が含有さている医薬品を患部に直接塗る治療方法で、病院に行かなくても一人で行える治療です。

この2つの治療方法の内、イミキモドが含有されている医薬品は使用上の注意さえ守れば高い効果があることやネット通販でも買えることから病院に行く手間が省ける、また医師に自分の性器を見せることに抵抗のある人にとっては非常に行いやすい治療方法でもあります。
手術での治療方法
手術での治療には、切除法・レーザー治療法・焼灼法・凍結法の4つの方法が挙げられます。イボの状態などを見つつ、医師と相談しそれぞれ適切な手術方法を選んでいきましょう。
これらの手術方法には、どれも痛みが伴ったり傷痕が残る可能性があります。
また尖圭コンジローマは再発しやすい病気なので、再発を繰り返して治療期間が長引くかもしれないということを念頭に置くようにしましょう。
尖圭コンジローマは塗り薬で治せる
薬物治療にはイミキモドという成分が含有されている塗り薬を使用しての治療法が挙げられます。
現在では尖圭コンジローマの治療において第一選択の薬剤としてベセルナクリームがあります。
イミキモドという成分の主な効果として、イボに直接塗ることにより尖圭コンジローマの原因であるウイルスの増殖を抑制すると同時に免疫機能を高める働きがあります。
使用する際は用法用量を守りながら、次のような注意点に気を付けましょう。
- 使用後に約80%と高い確率で副作用の発症が確認されています。主な副作用としては、塗った部分の紅斑(皮膚の赤み)・ただれ・痛み・むくみなどが挙げられます。
しかし、これはイミキモドの効果がしっかりと出ている証拠でイボ・角化皮膚が消失する治癒の過程になります。 これらの副作用が強く現れた際は薬の頻度を減らしたり、医師に相談するようにしましょう。また性器付近に広く塗ってしまうと排尿困難になる可能性があるので、塗る際はイボの箇所のみに塗るようにしてください。 - 使用後、塗った箇所の皮膚の色が変色することがあります。
- 塗る際に手についたベセルナクリームは石鹸を使用してしっかり洗いましょう。そのままにしておくと皮膚障害が起きてしまうかもしれません。
ベセルナクリームを塗った状態での性行為も危険です。パートナーに薬がついてしまうと自分だけではなくパートナーにも皮膚障害が起きる可能性があります。 - イボがなくなったからといって途中で使用をやめないでください。尖圭コンジローマの完治のポイントは「再発させない」ということなので、自己判断で使用を中止すると再発してしまう可能性があります。
比較的再発率が低いといわれていますので、上記のような注意事項を守り使用することで尖圭コンジローマの完治に繋がります。
再発を未然に防ぐ
尖圭コンジローマは治療後3ヶ月以内の再発率が約30%と再発しやすい病気のため、いかなる治療法を用いても再発の可能性を疑わなければいけません。これは治療でイボ自体は除去できてもウイルスが体内に残ってしまっていることが原因であり、一般的に治療してから3ヶ月以内に再発しなかったら完治したと考えられます。
では、治療してから再発しないようにするにはどのようなことを心がければいいのでしょうか。
まず、症状の発症に関係してくるウイルスの働きを抑えるためにも体の免疫力を高めることが大事になってきます。疲れやストレスを溜めこまないように日頃の生活を見直したり、風邪などの病気を予防したりして免疫力を落とさないように努力しましょう。

尖圭コンジローマは性行為を行った際のパートナーへの感染率が約60%と非常に高い確率で感染してしまいます。仮に自分が完治してもパートナーが感染していると、また尖圭コンジローマが発症してしまうかもしれません。もし発症するまでに性行為を行ったパートナーがいる場合は、パートナーにも検査を受けるように促すようにしましょう。
また、予防法として性行為時のコンドームの使用が挙げられますが、これは100%感染を防げるものではありません。感染していると判明した際は完治するまで性行為は控えるようにしてください。
放置するとどうなるの?
尖圭コンジローマを治療せずにそのまま放置していると、イボが大きくなり感染箇所が拡大するなど症状が悪化する恐れがあります。感染箇所が拡がり性器をイボが包み込むようになると、今度は排尿障害を引き起こすかもしれません。
女性の場合は感染した状態で妊娠すると、出産する時に赤ちゃんにウイルスが感染してしまい尖圭コンジローマを発症したり、多発性咽頭乳頭腫という喉にイボができる病気になる可能性があります。
そして最悪の場合、男性は陰茎癌、女性は子宮頸癌を誘発する危険性があると言われています。尖圭コンジローマを発症するHPVは良性ですが、発症している患者の中から悪性のHPVが見つかる場合があり、この悪性のHPVが原因で癌が発症してしまいます。
以上のように尖圭コンジローマを放置していると様々な悪影響が出てきてしまうので、早急に処置するようにしましょう。